研究趣旨
「デザイン振興政策アーカイブ」は、経済産業省等の行政機関、日本デザイン振興会等の振興機関や関連団体が中心となり進めてきた、デザイン振興政策に関する基本的文献資料を公開するとともに、次世代のデザインとその振興政策を検討していく機会を提供することを目的として開設されました。
日本の経済と社会は、戦後の復興から今日に至るまで、デザインを有効に活用することで継続的な発展を遂げてきました。特に1958年から97年までの40年間にわたり、通商産業省が先導役となって展開されたデザイン振興政策は、日本のデザインと産業の成長を促す役割を大きな果たしてきました。しかしこうした日本の政策については、諸外国からは高く評価されているものの、国内では十分な評価が得られているとは言えません。しかも、研究・評価を進めようにも、その関係資料等も散逸し、体系的に整理公開されてはいませんでした。
そこで、黒田宏治(静岡文化芸術大学)が、2018年に日本のデザイン行政の歩みについての科学研究費(JSPS科研費JP18k11961)を得たことを契機に、青木史郎(日本デザイン振興会)がこれに協力し、静岡文化芸術大学と日本デザイン振興会の研究協力事業として「デザイン振興政策アーカイブ」活動を開始しました。以降、多くの方々のご協力のもとに、日本のデザイン振興政策に係る文献資料の収集整理を行い、主要な資料文献約 320 件を公開するとともに、関係者へのインタビュー調査やこれらを活用した研究活動を続けています。
なお2022年、科学研究費の助成終了に伴い、日本デザイン振興会は「デザイン振興政策アーカイブ」を広報活動の一環として位置づけ公開と研究の場を提供するともに、青木史郎等有志によって設立された国際デザイン研究フォーラムが調査研究と運営を具体的に担うことで、継承発展を図ることといたしました。この活動が、デザイン政策研究のプラットフォームとなり、次の時代のデザインのあり方や振興政策を検討していく契機となることを期待しています。
研究概要
1.文献資料の収集整理公開
日本のデザイン行政・デザイン振興活動についての、基礎的文献資料約 230 件を紹介するとともに、そのほとんどについてPDF形式で原文を収録しています。これらについては、本ウエブの「文献検索」で、政策分野、年代、キーワードにより検索することができます。
2.インタビュー調査
文献資料には限界があるため、日本のデザイン振興を様々に担われた方々の体験経験をお聞きし、それを収録するインタビュー調査を行っています。夫々のインタビューについては「研究フォーラム」に順次掲載しています。
3.研究活動
文献資料から浮かびあがるデザイン行政と振興活動の歩みを、更に深く理解するため、学会における発表、学術論文の執筆、研究シンポジュームの開催などを続けています。これらの研究成果は、「研究フォーラム」に順次掲載しています。
なお、同様な趣旨で研究をおこなっている「日本デザイン学会・プロモーションデザイン研究部会」の研究成果も、あわせて掲載しています。
研究推進
黒田宏治 静岡文化芸術大学 名誉教授
青木史郎 一般社団法人国際デザイン研究フォーラム 代表理事
資料提供・協力
経済産業省 デザイン政策室
一般社団法人 大阪デザインセンター
一般社団法人 芸術工学会
一般社団法人 日本デザイン学会
株式会社 国際デザインセンター
GKデザイングループ
森山明子 神戸芸術工科大学 副学長
田中義信 元 日本デザイン振興会
宮崎修二 一般財団法人高度技術社会推進協会 元 経済産業省
藤本清春 道具学会 元 GKデザイン機構
資料提供のお願い
「デザイン振興政策アーカイブ」は、日本のデザイン行政や振興活動に関する文献資料を探しています。
おこころあたりがおありの方は、ご連絡くださるようお願いします。